
実家を兄弟の共有名義で相続しても大丈夫?メリット・デメリットと注意点
2026年10月23日 16:48
親が亡くなり、兄弟で実家を相続することになった場合、
「兄弟で平等になるよう、共有名義にした方がよいのでしょうか」
「とりあえず法定相続分どおりに登記しても問題ありませんか」
と迷われることがあります。
実家を兄弟の共有名義にすること自体は可能です。
しかし、共有名義にした後で実家を売却したり、共有者の一人に相続が発生したりすると、権利関係が複雑になることがあります。
共有名義には公平に分けやすいという面がある一方、将来の利用や売却まで考えずに選ぶと、手続きを進めにくくなる可能性があります。
この記事では、実家を兄弟の共有名義で相続するメリットとデメリット、共有名義以外の分け方について解説します。
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■不動産の共有名義とは
共有名義とは、一つの不動産を複数の人が持分を定めて所有することです。
例えば、兄と妹が実家を2分の1ずつ相続する場合は、次のような持分で相続登記を行います。
兄 持分2分の1
妹 持分2分の1
この「持分」は、建物の1階が兄、2階が妹というように、実際の場所を分けて所有することを意味するものではありません。
兄と妹が、それぞれ2分の1の割合で不動産全体について権利を持つ状態です。
遺言書がなく、遺産分割協議も成立していない場合、相続財産は相続人全員による共有状態になります。
その後、遺産分割協議によって誰が実家を取得するのかを決め、その内容に基づいて相続登記を行うのが一般的です。
■実家を共有名義で相続するメリット
共有名義には、次のようなメリットがあります。
・兄弟が持分に応じて不動産を取得できる
・一人だけが不動産を取得することへの不公平感を抑えやすい
・代償金を準備できなくても、兄弟で実家を相続できる
・兄弟で実家を利用する場合に、全員が所有者になれる
遺産の大部分が実家で、預貯金が少ない場合、一人が実家を取得すると、ほかの相続人へ渡す財産が不足することがあります。
このような場合に、兄弟で持分を分けることで、相続人間の公平を図ることができます。
ただし、「持分が平等であること」と「将来も円滑に管理できること」は別の問題です。
共有名義を選ぶ場合は、相続登記後の利用や管理、売却についても話し合っておく必要があります。
■実家全体の売却には共有者全員の合意が必要です
共有名義にした実家全体を売却する場合は、共有者全員の合意が必要です。
例えば、兄は実家を売却したいと考えていても、妹が実家を残したいと希望している場合、兄だけの判断で実家全体を売却することはできません。
売却すること自体には合意できても、次のような点で意見が分かれることがあります。
・売却する時期
・売却価格
・依頼する不動産会社
・建物を解体するか
・家財を誰が処分するか
・売却に必要な費用を誰が負担するか
共有者の一人と連絡が取れない場合や、判断能力に問題がある場合も、売却手続きが進められない可能性があります。
認知症などにより意思能力を欠く状態となっている共有者がいる場合は、成年後見制度の利用が必要になることもあります。
■自分の持分だけを売却することはできます
各共有者は、原則として自分の持分だけを売却することができます。
ただし、実家の持分だけを一般の方が購入するケースは多くありません。
持分を第三者へ売却した場合、その購入者が新たな共有者になります。
家族ではない第三者と不動産を共有することになり、実家の利用や売却をめぐる関係がさらに複雑になる可能性があります。
「意見が合わなければ、自分の持分だけを売ればよい」と考えるのではなく、共有名義にする前に将来の方針を確認しておくことが大切です。
■固定資産税や修繕費の負担を決める必要があります
不動産を所有している間は、固定資産税や修繕費、火災保険料などがかかることがあります。
空き家になった実家でも、次のような管理が必要です。
・庭木や雑草の手入れ
・建物の修繕
・雨漏りや設備の確認
・室内に残された家財の整理
・定期的な見回り
・近隣から連絡があった場合の対応
誰が費用を支払うのか、誰が実際の管理をするのかを決めていないと、一人の共有者に負担が偏ることがあります。
実家から離れた地域に住んでいる共有者がいる場合は、費用だけでなく、現地での対応を誰が行うのかも確認しておきましょう。
■共有者が亡くなると所有者が増える可能性があります
共有者の一人が亡くなると、その方の持分が次の相続の対象になります。
兄と妹が実家を2分の1ずつ所有している状態で兄が亡くなった場合、兄の持分を兄の配偶者や子どもが相続することがあります。
さらに次の相続が発生すると、共有者が増えていく可能性があります。
共有者が増えるほど、実家を売却するときに必要となる連絡や合意、書類の収集が難しくなります。
現在は兄弟同士で問題なく話し合える場合でも、次の世代では交流が少なくなり、連絡先が分からなくなることもあります。
共有名義を選ぶ場合は、現在の兄弟関係だけでなく、次の相続まで考えておくことが重要です。
■共有名義以外の遺産分割方法
実家の分け方には、共有名義以外にも主に次の方法があります。
■一人が実家を相続する方法
相続人の一人が実家を単独で取得する方法です。
実家に住む方が決まっている場合や、実家を維持したい方がいる場合に検討されます。
名義人が一人になるため、将来の管理や売却について判断しやすくなります。
ただし、実家を取得しない相続人との間で、財産の分け方を調整する必要があります。
■代償分割
一人の相続人が実家を取得し、その代わりにほかの相続人へ金銭を支払う方法です。
例えば、兄が実家を相続し、妹へ相続分に応じた代償金を支払います。
実家を単独名義にしながら、相続人間の公平を図ることができます。
ただし、実家を取得する方が代償金を準備できるか、不動産をどのように評価するかが問題になることがあります。
代償金の金額や支払い方法は、遺産分割協議書へ正確に記載する必要があります。
■換価分割
実家を売却し、売却代金を相続人間で分ける方法です。
誰も実家に住む予定がない場合や、実家を維持することが難しい場合に検討されます。
相続登記と売却の方法、売却代金の分け方を事前に決めておく必要があります。
不動産の売却には譲渡所得税などが関係する可能性があるため、必要に応じて税理士へ確認することも大切です。
■共有名義を選ぶ前に確認したいこと
共有名義で相続登記をする前に、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
・今後、実家に住む方がいるか
・実家を売却する可能性があるか
・実家の管理を誰が行うか
・固定資産税や修繕費をどのように負担するか
・共有者が遠方に住んでいないか
・共有者の一人が亡くなった後はどうするか
・一人が取得して代償金を支払う方法は可能か
・売却して代金を分ける方法は可能か
共有名義が適しているかどうかは、不動産の価値や利用予定、相続人の関係、預貯金の額などによって異なります。
単に法定相続分どおりに分けるのではなく、将来の管理や売却まで含めて検討することが大切です。
■とりあえず共有名義にする前にご相談ください
遺産の分け方が決まらないからといって、十分に検討しないまま共有名義で相続登記をすると、後から一人の名義に変更するために、改めて登記や費用が必要になることがあります。
また、相続登記には申請期限がありますが、期限があることを理由に、急いで共有名義を選ばなければならないとは限りません。
遺産分割がまとまっていない場合には、相続人申告登記など、状況に応じて検討できる制度もあります。
司法書士こばやし事務所では、相続人の確認、戸籍の収集、遺産分割協議書の作成、相続登記まで一連の手続きをサポートしています。
「兄弟で実家をどのように分ければよいか迷っている」
「共有名義で登記しても問題がないか確認したい」
「相続登記後に実家を売却したい」
という段階でもご相談いただけます。
相続登記など、当事務所へのご依頼を検討されている方は、初回相談を無料で承っています。
足立区・北千住で、実家の相続登記や不動産の名義変更をお考えの方は、司法書士こばやし事務所へお問い合わせください。