北千住の女性司法書士が解説!不動産相続手続き講座

【疑問】相続人全員が相続放棄すると借金はどうなるの?

2024年08月18日 10:17

こんにちは

女性のための不動産相続専門コンシェルジュ

司法書士のこばやしです



さて、今回は相続放棄をしたらどうなるのか~その2~です


相続人全員が相続放棄をしたら

被相続人の借金はどうなるの?



もしも相続人となりうる人の全員が相続を放棄してしまった場合、残った借金はどうなってしまうのでしょうか


借金があるということはお金を貸した人(=債権者)がいるということです


相続人となりうる人全員が相続放棄をして相続人がいなくなってしまった場合、
債権者は家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任の申し立てをすることが認められています



相続財産清算人が選任されると貸したお金が返済される可能性がある

相続財産清算人にはほとんど弁護士が選任されます


相続財産清算人は亡くなった人の負債や財産をすべて調べます


資産を清算し、家庭裁判所の承認を経て債権者に対して弁済をします

弁済してもなお財産が残る場合は国へ引き継ぎます



相続財産清算人の選任には申し立てが必要です


この申し立てをするにあたり裁判所に納めるお金(=予納金)がかかります

予納金の金額はケースによりますが30万円~100万円とされていますし、

申して人が申し立て時に納める必要があります


不動産や金銭等のめぼしい財産が何も残されておらず、

借金の返済に不十分な場合は、債権者がわざわざ予納金を支払ってまで

相続財産清算人を選任申し立てをすることはありません



相続放棄しても・・・相続放棄後の注意点


亡くなった方の相続財産で相続人が現に占有しているものがある場合には、

相続放棄をしても相続財産清算人に引き渡すまでは、引き続き相続財産を管理しなければなりません。


民法の改正により、令和5年4月1日以降は、相続人が現に占有しているものに限定されるようになりました。

まとめ


ここまで相続人の全員が相続放棄すると、被相続人の借金はどうなるのかについて
書いてみました


被相続人にお金を貸していた債権者は相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申してることにより

弁済を受けられる可能性があります


しかし、相続財産清算人の申し立てには予納金が必要ですので

被相続人にめぼしい財産がない場合は、申し立てを断念する場合もありますし

たとえ相続財産清算人が選任されて清算手続きが行われても
財産がない場合はそれ以上の返済を求めることはできません



また、相続人の全員が相続放棄しても、その時点で占有していた財産があれば、

相続財産清算人に引き渡すまでは引き続き財産を管理しなければなりません。

このように、相続人の全員が相続放棄した場合にも、

さまざまな注意点があるということを押さえておきましょう。